没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~
「これは僕からのプレゼントです」
「あら。今日も持ってきてくれたの? ありがとう」
私は花束を受け取った。
ネル君はエードリヒ様がイベリスの花束を持ってきてくれて以降、私に花束をプレゼントしてくれるようになった。
花束は一貫してデイジーで、色は白や赤、ピンクなどいろんな種類を持ってきてくれる。デイジーの花には種類があって平べったい花びらのものやマカロンのようにまん丸で可愛らしいものまで多岐にわたる。
どれをとっても可愛らしい。それを贈ってくれるネル君もまた可愛すぎる。
私はネル君と花束を見て胸がキュンと心地良い締め付けにあうのを感じていた。
――はあ、ネル君もお花も可愛い。やっぱり可愛いは正義よね!?
身悶えながら結論に至っていると、ネル君が狼狽しながらこちらを見上げてくる。
「お、お嬢様。そんなに強く握りしめると花がしおれてしまいます!」
注意されて我に返った私は花束を握る手の力を緩める。
「やだ、ごめんなさい。折角の贈り物が台なしになっちゃうわね」
改めて花束に視線を落とすと、どこに花を飾るか思案する。
これまでもらったデイジーは店内のイートインスペースやレジ横、そして事務室に飾っている。厨房は食品を扱う場所だし、オーブンを常に稼働させているから熱気で長持ちはしない。
私が唸っていると腰に手をあてるエードリヒ様が口を開いた。