没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~
――まだまだ年端もいかない子にドキドキするなんて。どうしちゃったの? これは多分ネル君の瞳がアル様に似ているせい……よね?
だって、そうじゃないと私は十二歳の男の子にときめいていることになってしまう。
――いろいろと困惑しちゃったけどネル君はアル様に似ているところがあるから、私はネル君の中にアル様を見出しているんだわ。
そうだ。そうに決まっている。
だから小児性愛に目覚めた訳じゃない。
犬や猫のように小さな子を愛でるのに関心があるだけ。邪な感情なんて一切ない。
良かった良かった、と自分の性的嗜好を確認してほっとしたのも束の間。
私はもっと重大なことに気がついてしまった。
――ちょっと待って。そうなると、私は…………アル様が好きってこと?
アル様のことが……好き?
誰が? ――私が。
本当に!?
そこまで考えて私は急いで思考を停止させた。これ以上自分の感情の分析が進んだら何も手につかなくなるし、下手をすれば気絶してしまう。
というより、既に私は何も考えられなくて呆然とその場に立ち尽くしていた。