没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~
「フィリップ様、私はカリナ様を虐めたことなど一度もございません。事実無根です」
「はっ、嘘を吐くな。おまえが図書館でわざとカリナを突き飛ばしたり、毒入りの茶葉を贈ったりしたことをカリナ本人から直接聞いている。白を切っても無駄だぞ!」
「それは突き飛ばしたのではなく、たまたまぶつかってしまったんです。それに茶葉もぶつかったお詫びに贈った普通の品ですわ」
弁解したところでフィリップ様は私の話を信じてくれなかった。
寧ろ御託を並べていると判断されて、ますます目が鋭くなっていくばかりだ。
「前から侯爵家を笠に着て高飛車で可愛げがないと思ってはいたが、ここまで性根の腐った悪辣な女だとは。おまえなど未来の妻に相応しくない。相応しいのはこのカリナだ! とっとと失せろ!」
フィリップ様の言葉を合図に私は執事と下僕に腕を掴まれて、そのまま屋敷の外へとつまみ出されてしまった。