没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~



 ずぶ濡れになっているからきっと身体は冷えているはずだ。だから身体が温まるようにはちみつとジンジャーがたっぷり入ったハーブティーを淹れた。
 今回はお茶が甘めなのでケーキは甘さ控えめなミルクレープを選んだ。
 可愛らしさを演出するためにクレープ生地にはいちごのジャムを練り込んでいる。全体的にほんのりとピンク色をしていて、ケーキの表面には丸く絞った生クリーム、その上に小さいピンク色のマカロンをのせ、手前にはラズベリーと葉っぱの形をしたチョコレートを飾っている。

 私はケーキプレートにミルクレープをのせると生クリームと飾り用のミントを添えて、青年が座っているイートインスペースへと運んだ。
「どうぞごゆっくりお寛ぎください。ティーポットには冷めないようにティーコージーを被せておきますね」
「ありがとう」
 青年はカップに注がれたハーブティーを飲んで身体を温める。

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