没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~


 意識を引き戻して青年に視線を向けると、テーブルに置かれていたケーキプレートもティーカップも綺麗に空っぽになっている。
 完食してくれたことが嬉しくて、私はつい青年に話しかけてしまった。

「お口に合ったようで嬉しいです。もしよろしければまたいらしてください。入りにくいお店であることは承知していますが、イートインスペースは半個室なのでプライベート空間は確保できます。閉店間際ならほとんどお客様もいらっしゃらないですし、一人で来店されても気後れすることはないと思います」

 青年は驚いたように目を見開いた。

「また来ても良いの?」
「もちろんです。ここは男子禁制のお店ではないので遠慮なくいらしてください。あと今後は男性が入りやすいように飾り付けも改善しておきますね」
「うん。それなら非常に助かる」

 私が思った通りお店には入りにくかったようだ。

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