友達を好きになった話
図書室の鍵を閉め、職員室に返す。
七瀬には先に昇降口で待ってもらっている。
いくつかの教室の前を通り、昇降口へ向かう。
「三森!」
ニカッと笑って私に手を振る七瀬。
心臓がドキッと鳴った。
『…ご、ごめん待たせて。』
少し俯いて私が言うと、七瀬は首を振る。
「俺が三森と一緒に帰りたいだけだから。」
微笑んだその顔は、夕日のせいか赤く染まっている。
その言葉に私は笑った。
『…何それ、ありがと。』
校門を出て、二人で並んで歩く。
『唯葉(ゆいは)は良かったの?』
七瀬の幼なじみであり、私の親友の中山 唯葉。
いつも三人で帰るか、七瀬と唯葉で帰ることが多いのに。
「…あー、うん。先に帰ってもらった。」
先に帰ってもらった?
「…三森に言いたい事があって。」