緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
猫はそう言って座りこみ、後ろ足で首をカシカシかいた。

「では、本来の姿を見せろ!!」

グルシアが命令すると、
猫の周囲からわもわと黒煙が立ち込め、
その煙の中から、毛皮のコートを着た女が出て来た。

「ダンナがいないから、大丈夫って聞いたけど・・
アタシ!!帰るわ」

リリカがふてくされるように、紅い口を尖らした。

「ダーリン、お願い!!リリカの話を聞いてあげて」

アレクサンドラがお腹に手を当てて、グルシアを見上げた。

「仕方がないな・・」

そう言って、
グルシアは、リリカに部屋に入るよう促した。

リビングに戻ると、リリカは気まずそうに、距離を取って座った。

「酒とたばこはダメだ!」

「わーってるよぉ、そのくらい」

リリカは、冷たくなった紅茶を一口飲み、大口を開けてアップルパイをほおばった。

アップルパイの匂いで、この魔女の臭いが紛れたのか。

「リリカ、アイスと一緒に食べると、すんごく美味いよ」

アレクサンドラは、アイスクリームをすくって、リリカの皿に乗せた。

「キヤッホーーーイ!!
これ、高級アイスじゃね?」
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