緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
「はい、ニンゲン界でも魔界でも、魔女の影響力がなくなってきています」

リリカは、アレクサンドラをチラッと見て

「お腹の子どもは女の子ですよ。
女の子なら魔女でしょう」

グルシアは、額にしわを寄せた。

「私の権限で、中級天使以上のランクにはするつもりだ。
問題はない!!」

「そうですね・・でも、この子が、大きくなって魔女になりたいと言ったら、どうなさるおつもりですか?」

その問いに、グルシアの息が詰まった。

アレクサンドラが自分のお腹を押さえ、小さな声で言った。

「この子には、自分で選ぶ自由があると思う」

「もし、魔女になりたいというのなら、私やアレクサンドラが魔女教育をすることになります」

リリカは、サファイアブルーに金の筋が入る瞳で、グルシアをみつめた。

「魔女は個人主義ですが、困った時は、お互いの利害と関係なく助け合います。
もし、この子がこのままニンゲン界で生活するとなると、徴(しるし)か封印か、いつも脅かされる生活になるでしょうから」

バンッ!!

グルシアが怒りのあまり、机を叩いた。

「そんな事は・・絶対にさせない!!」
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