緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
リリカはその肩越しに、背中に
ある緋色の翼が目に入った。

こいつは・・大天使・・緋色の翼の奴!!

「君は大魔女のリリカちゃんだね。初めまして。
君、シナモンの匂いがする」

「てめぇ、離せよ!!」

「はい、わかりました」

リリカがもがくと、サリエルはつかんだ腕を、ひょいと離したので、バランスを崩して、ブーケの上に尻もちをついた。

「なに、しやがるんだよぉ・・
この、クソ天使!!」

「離せ・・というから離しただけですが・・」

サリエルは、座り込んでいる
リリカのそばにしゃがんだ。

「あーーあ、せっかくのブーケが台無しだ」

百合の花が半分ほど、リリカの
お尻の下で、ぺしゃんこにつぶれている。

「言われなくても、こんな胸糞のわりぃ場所、出ていくし。
どけや!!」

リリカが悪態をついたので、
サリエルが立ち上がった。

「わかりました」

リリカが菩提樹の幹に手をついて、立ち上がろうとした瞬間、

「いてぇっ!!」

体が崩れ、そのまま、ズルズルと背中に幹を接したまま座り込んだ。

「あー、足首、やられちゃったんですね。ヒールも折れている」

サリエルは、冷静に評価した。
< 3 / 52 >

この作品をシェア

pagetop