緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
「あーーん、また、バックと靴忘れるなんて」

アレクサンドラは、床のバックを取り上げた。

「なんか、リリカ、変わったよね」

「どこが?」
グルシアが首をひねった。

「着ている物とか、言い方とかさ」

「ふん・・」

確かに、この間来た時は、
いかにもという感じで、娼婦っぽい服装だった。
が、今日は濃紺のパンツスーツだった。

化粧も薄いピンク系、髪もひとつに束ねていた。

「リリカがさ、言ってたんだけど、どうもサリエルが、迫ったらしいよ」

アレクサンドラは、そう言って、グルシアの隣に座った。

「いや、あいつは・・
ニンゲンとか、魔女とか興味を持っているのは確かだが、単なる好奇心、探求心ってやつだ。
それか、ちょっとからかっただけじゃないか?」

「LOVEって感情じゃないの?」

アレクサンドラはグルシアの手に、自分の手を重ねた。

「そういった感情は、あいつにはないよ。
今まで、そんな話も聞いたことないし」

「そうなんかぁ・・
リリカの事を好きって・・思えるんだけどな」

「まぁ、彼女が変わっているので、興味を引いたのだろう」

アレクサンドラが、グルシアの肩に寄りかかった。
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