緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
<グルシアの戦略>
グルシアは、天界の回廊で、
サリエルと向き合っていた。

「という訳で、
大魔女リリカが、徴(しるし)と封印の撤廃を、
次の天使会議で直接説明したいと言っている。
俺としても、それを支持する方向で、考えていきたいのだが、
サリエル、君の意見を聞きたい」

サリエルは腕組みをして、
回廊の柱に寄りかかり、グルシアに微笑んだ。

「そーだねぇ、この間の合コンといい、サキュバスの台頭といい、魔界は随分と変わってきているのは確かだな。
こちらの情報では、リリカちゃん、どうやら魔界で居場所がないらしい。
サキュバス問題で、魔女の今までのやり方が、通用しなくなってきているからな」

こいつが・・大魔女リリカに本当に迫ったのか?

変態野郎なのか・・?

グルシアが別の意味で、頭を抱えたが、すぐに探りをいれた。

「その、この間の合コン、リリカ君と幹事をやっただろう?
彼女はどんな感じだった?」

「あははは、お局コスプレ、大食い、こんなガマガエルみたいな財布、笑える話がてんこ盛りだよ」

サリエルは膝を打って、大笑いした。

その様子を見て、グルシアはどのように反応してよいか、迷った。

「確かに、アレクサンドラも最初はそうだったが、大魔女は変わっているよな」

「うん、リリカちゃんはおもしろい。
見ていて飽きない観察対象だね。
窮地に陥ると、反応がおもしろくて、つい、いじってしまうけど」


観察対象か・・グルシアは思った。

こいつにとっては、ニンゲン界の地球温暖化現象と大魔女リリカは、同列なのだ。

恋愛対象として、見ているわけではない。

サリエルは思い出したのか、まだクスクス笑っている。

「まっ、リリカ君は、今、実際
困っているのだがね」

グルシアは率直に言った。
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