緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
後ろの傍聴席には、中級、下級天使が、空席なく埋まっている。

コーーン

グルシアが、大きな木槌を打った。

「それでは、次の議題は、ニンゲン界における魔女の措置についてです。
徴(しるし)と封印の問題についてですが・・」

会場がしんと静まり返り、視線がリリカに集まった。

天界に魔女、それも大魔女が来ること自体、異例なのだ。

「本日は魔界より、大魔女リリカ殿が直接、説明に来ています」

グルシアが、<始めろ>というように、中央のリリカに向けて、
手を差し出した。

リリカがうなずいた。

バックからタブレットを取り出し、画面を確認しながら、声を張り上げた。

「私たち魔女は・・昔と違います。
いまやニンゲン界に、害をなす、影響を及ぼす者ではありません。
天界で邪悪とみなされ、
徴(しるし)や封印の対象とされていたのですが・・」

リリカは、タブレットを指で
スクロールしようとしたが、何か焦っている。

画面がフリーズして、うまくいかないらしい。

「その・・申し訳ありません。
魔界の波動が、ここではブロックされているので・・」

リリカは、助けを求めるように、グルシアを見た。
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