緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
「時間がないので、私のほうで、補足説明をします」

グルシアが立ちあがた。

「いや、グルシア殿は、元魔女と婚姻されているので、バイアスがかかる恐れがあります。
適切な判断材料には、できませんね」

サリエルが手をあげて、異議申し立てをした。

それを見て、リリカがくっと、
唾を飲み込んだ。

サリエルがすぐに立ち上がり、
中央に進み出た。

「私のほうで、魔界状況やニンゲン界における影響力について、
調査したことを、説明する許可をいただきたいのですが」

長老はうなずき、グルシアは
眉をひそめて着席した。

サリエルは、リリカの隣に立った。

手先を中空に上げて、四角を描くよう動かすと、スクリーンのような白い空間が出現した。

「まず、このグラフを見ていただきたい。
これは、ニンゲン界に影響を与える魔界の種別増減を、示しているのですが、
サキュバスが、右肩上がりで、
上昇している事がおわかりでしょう。
これは需要と供給バランス、
つまり、ニンゲンが、サキュバスを求めている現象と言えます」

サリエルは、リリカをチラッと見た。
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