緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
「何、眺めてんだよぉ。
見せもんじゃねーし。あっちに行けよ!!」

「ただ、ここは教会の敷地ですから、魔力のあるものは普通入れないし、助けを呼べないですよ。
あなたは、何もできないです」

「くそ、だから出ていくって、
言ってるんだよぉ!」

リリカは四つん這いになって、
ズルズル移動しようと試みた。

「ブーケはどうしますか?
背中に乗せましょうか?」

サリエルはブーケを拾い上げて、リリカの膝をついたその姿を、
面白そうに見ている。

「これから、メチャクチャ腫れてきますよ。すぐに冷やさないと」

「くそっ!!」

リリカは悔しそうに、サリエルの笑顔を見た。

「手を、貸してくれ・・敷地の外まで・・行くから」

「そうですね」

サリエルは、リリカに手を差し出したので、リリカはぐぐっと顔をしかめながらも、その手を握った。

サリエルが引っ張り上げるように、力を入れたので、リリカは片足立ちでなんとか立ち上がった。

「はい、じゃ、このブーケを持って」

サリエルが、リリカにブーケを渡した。

「グゲッ!!」

ブーケを両手に持ったまま、
リリカの両足が、いきなり持ち上がった。
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