緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
「君はサキュバスに、いじめられているんだろう」
サリエルは、はっきり言った。

ふうっ・・・リリカが歯をくいしばった。
こんな奴に、弱みを握られたくない。

すでに偏平足や足のサイズについても、知られているというのに。

泣き顔なんか、見られたくない。

「魔界ではよくあることだ。
弱い奴をつつくのはね」

リリカは、
<そんなこと、当たり前>というように、前を向いて言ったが、
手のハンカチが、きつく握られていた。

「天使の徴(しるし)があれば、サキュバスは手が出せないだろう?」

サリエルも前を向いて、点滅するエレベーターの階数ボタンを見つめていた。

「君が望めば、徴(しるし)は
手に入ると思うけど」

「はぁーー!!
なに、寝言、言ってんだよぉ!
アタシは大魔女なんだよっ!!」

リリカは、初めてサリエルの顔を真っすぐに見て、にらみつけた。

「そうだな・・
では、別の視点で提案しよう」

サリエルはふっと、意味深に笑った。

「魔女の掟は、ギブ&テイクだ。
僕は今日、君の提案に全面的に協力した。
それに対する、見返りを要求するけど」

あの発言が、協力って?
< 41 / 52 >

この作品をシェア

pagetop