緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
「見返りって・・なんだよっ!!」

リリカのサファイアブルーの瞳に黄金の線が、ギラリと光った。

サリエルは自分の膝を抱え、
リリカと視線を合わさないように
前を向いた。

「うん、君と初めて会った時、
衝撃というか、何かの火花を感じたんだ。
こんな感覚は初めてで、君をもっと知りたいと思った」

サリエルは、奥歯に何かが挟まったように

「つまりだ・・君にキスしたいと思ったんだけど、
ヘタクソって言われると、
さすがに、僕のプライドが傷つくんだよね」

「にゃにゃ・・キスって、
それって、アンタの仮徴(かりしるし)がつくことじゃん」

リリカが肩をすくめて、ぴったりと壁に張り付いた。

驚きのあまり、目を丸くしているリリカに、サリエルは満面の笑みを向けた。

「天使の徴(しるし)なんて、
僕の権限なら、有効にも無効にもできるから、心配ない」

サリエルはまた、点滅するエレベーターのボタンを見つめた。

「僕は知りたいんだ。
君とのキスが、どのようなものか。
だから、君から僕にキスをしてくれればいい。
それが、見返り報酬。
それに、ここでは猫の姿になっても、逃げられないしね」

こいつは変態天使だ・・
変に話をこじらせると面倒くさい。

「わかった・・よ」
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