緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
<ヤドリギのエピローグ>
30分・・
エレベーターが動き初めて、1階で止まった。

扉が開くと、サリエルは茶色の猫を胸に抱いて、すまして出て来た。
肩にはリリカのバックをかけて、パンプスを片手に下げている

グルシアとアレクサンドラが
ニヤニヤして、出口の所に並んでその姿を見ていた。

「おんや?カワイイ猫ちゃんだね。
サリエル、この子どうしたの?」

アレクサンドラは、目を細めて興味深げに聞いた。

「ああ、僕が飼おうと思って。
今日は急ぎなので、それでは失礼」

サリエルは速足で、そのまま立ち去った。

グルシアとアレクサンドラは、
お互いの顔を見合わした。

「むーーー、お持ち帰り、決定!か?」

「顔にひっかき傷がないから、同意したってことでしょ!」

「なるほど」

グルシアが答えると、アレクサンドラは急いで窓から外をのぞいた。

ニンゲン界に降りる道、
そこを赤のオープンタイプのスポーツカーが、猛スピードで走って行くのが見える。

サリエルの車だ。
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