緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
ガチャガチャ、音を立てていると、サリエルはそのまま歩いて、大きな翼を広げて背中からリリカを抱きしめた。

「えーーと、勝手に帰っちゃだめだよ。
僕たちはヤドリギの下で、キスしたしね。
これって、永遠の愛を誓う呪い?といえるだろう」

そう言って、サリエルがリリカの首筋に唇を寄せた。

「あれぇ?バニラの匂いになっている。
僕は、シナモンが好きなのに」

その言葉で、リリカの全身の力が、一気に抜けた。

「コーヒー飲んだら、岬のほうに行って、食事しよう。
それから、リリカちゃんの必要な物、街で買い物をすればいいね」

リリカは、翼にくるまれるように抱かれて、サリエルの言葉を聞いていたが、

「指輪もだよ」

その言葉を聞いて、サリエルは破顔した。

「すぐでなくていい。
今は・・こうしていたいかも」

リリカは小さな声で言った。

「僕も、おんなじ気分だ」

サリエルも、リリカの髪に唇をつけて同意した。

波の寄せては返す音が、心地よい。
二人は抱き合ったまま、波の音に揺れていた。

おわり
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