緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
リリカはもう一度、涙目でサリエルをにらんだ。

魔力が使えるんだったら、
こいつを、赤毛のネズミにでもしてやるところなんだが。

「・・一番恥ずかしいところ、
見やがって・・ちくしょう!!」

サリエルは、あきれたように、
リリカの顔を見た。

「足がデカいとか、偏平足とかですかぁ?
そんなの普通でしょぉ?」

「魔女にとっては・・・普通じゃないんだ!!」

リリカは、ドスの効いた低い声で言った。

シンデレラだって、デカイ足で
偏平足だったら、王子は誘わなかったかもしれない。

「まぁ、こだわる所は、魔女にもそれぞれあるでしょうがね。
今は足首のほうが優先でしょう?」

リリカはベンチの縁を握りしめて、さらに低い声で言った。

「だ・・誰にも言うなよ!!
言ったら殺す!!」

「殺すなんて・・物騒ですね」

くくくっと、サリエルはおかし気に笑い出した。

「サンドラちゃんも変わっていたけど、あなたも相当に変わっていますね。
言いませんよ、誰にも。
秘密にしておきましょう」

相手の弱みを握るのも、戦略としては重要だ。
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