【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。
「文哉、一緒に戦おう? 私がずっと、そばにいるから」
「杏珠……ごめんな……」
私は文哉を守りたい。文哉の過去を悪く言う人を、許せない。
文哉はずっと一人で孤独に生きてきたんだから。……絶対に、文哉は幸せになるべきなの。
「文哉……本当に、心当たりはないの?」
「……分からないんだ、本当に」
そんな文哉に、私は「だったら、探偵に頼んでみない?」と提案した。
「探偵……?」
「そう。警察がダメなら、探偵に頼もう。調べてもらったら、何か掴めるかもしれない」
「……確かに、探偵なら何か見つかるかもしれないな」
「うん」
その翌日の土曜日の午後、私と文哉は探偵事務所を訪れていた。
「という訳なんですが……。調べていただけないでしょうか?」
文哉の過去のことは明かさずに、今の状況を調べて欲しいとお願いした。
「なるほど……。分かりました。こちらでも、できる限りのことをやってみましょう」
「本当ですか? ありがとうございます」
お金ならいくらでも支払うと探偵に告げると、探偵は調査をしてくれるとOKしてくれた。
「まずは、同窓会に参加した人の名簿が見たいので、借りられますか?」
「分かりました」