【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。
真実の扉
そういえば、有澤さんって……。
「そういえば有澤……この前の同窓会、来てなかったよな?」
そうだ……確か、文哉が言っていた。
「……ああ、うん。 ちょっと、母の具合が悪くて、行けなくて」
有澤さんは、同窓会には来ていなかった……と。
「そうだったのか」
「うん。 でもまさか、高根沢くんとこんなところで会えるなんて思ってなかったよ」
「俺もだよ」
その時、私のスマートフォンがブルブルと震えだしたーーー。
「ちょっとごめん」
「あ、うん」
私はその電話にすかさず出た。
「もしもし」
「もしもし、栗山さんですか? 俺、夏河原(なつがわら)です」
それは依頼していた探偵からだった。
「夏河原さん、どうしたんですか?」
「栗山さんたちに至急報告したいことがありまして、ご連絡致しました」
「報告したいこと……?」
それが何なのかと思っていると、夏河原さんは「はい。……とても重要なことを見つけましたよ」と言ってきた。
「重要なこと……?」
「ええ。……高根沢さんに脅迫文を送っていた人物を見つけました」
私はその言葉を聞いて、「え……本当ですか?」と問いかけた。
「はい」
「その人は……誰なんですか?」