【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。
次の瞬間に耳にした言葉に、私は絶句した。
「有澤ひらりさん、という方です」
「え……?」
有澤……ひらり? 有澤……?
って……まさか……。
「有澤ひらりさんのパソコンをハッキングした所、高根沢さんに送っていた脅迫文の内容と同じ文章のコピーがデータとして残っていました」
「そんな……」
「有澤ひらりさんは、どうやら高根沢さんに恨みがあるようです。 有澤さんは、栗山さんたちの家を盗聴していたようですしね」
えっ……盗聴? 私たち……盗聴されてたの?
「どういうこと……ですか?」
「有澤ひらりさんは、高根沢さんとあなたの会話を盗聴していたようです。念の為高根沢さんの家に盗聴器がないかを調べた所、コンセントから盗聴器を発見しました」
私たちの会話が、盗聴されてた……?
「我々が探知機を使って調べたので、間違いないでしょう」
「そんな……」
じゃあ、まさか……。
「我々の調べによると、有澤ひらりさんには、十年前に恋人がいたようです。 しかしある日、その恋人が亡くなってしまった」
「え……?」
恋人が……亡くなった? 十年前に……?
「それって……まさか……」
「その恋人は、階段から落ちて亡くなったようです」