【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。


 やっぱり……。有澤ひらりの恋人が……あの時、十年前に亡くなったあの人だったんだ……。
 そしてその人を殺してしまったのが……当時の文哉だった。

「恋人は当時階段から転落による事故で亡くなったとありましたが……本当は違うと、有澤ひらりさんは訴えていたようです。 彼は殺されたと、そう警察に話していたそうですよ」

 私は今、とても残酷な言葉を聞いてしまった。
 それはとても、悲しい真実でーーー。

「しかし無念なことに警察は取り合ってはくれず、事故として処理されてしまった」

「そんな……」

 これは……やっぱり、復讐だ。
 有澤ひらりによる、文哉への復讐ーーー。

「有澤ひらりさんは、十年前の復讐をするつもりなんでしょう。……高根沢さんのことをずっと恨んでいる」

「……急がなきゃ」

 文哉が危ない……!!

 私はすぐ文哉の元へと走って戻った。 でもそこに、文哉の姿はなかった。
 そして、有澤ひらりの姿もなかったーーー。

「文哉……!?」

 文哉の名前を呼ぶが、返事はない。
 
「文哉、どこ!?」

 急がなきゃ!文哉が危ない……!!

「文哉!有澤さん! どこ……?!」

 文哉、お願い!無事でいて……!!
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