【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。


 記念日の日に、悪い冗談はやめてほしい。

「俺が殺したのは……友人なんだ……」

「友人……?」

 いや、待って。ちょっと待って……。

「俺は……この手で友人を、殺した」

 これは……悪い夢、なの?

「俺は……人を殺したんだ……」

 そうでしょ? これは悪い夢、だよね……?

「……本当なの?それ……」

「本当だ。……十年前、俺は罪を犯した」

 信じられない。本当に、信じられない。
 これが夢だと、誰か言って……。

「……ずっと言えなくて、ごめん」

 ごめんって……。なんで今頃、そんなこと言うの……?

「なんで……殺したの……?」

 どうして文哉は、友人を殺したのだろうか。……どうして、そんなことをしたのだろうか。

「……俺を侮辱したんだよ、アイツは」

「侮辱……?」

 文哉は、私に全てを打ち明けてくれた。

「……俺とアイツは、友人だったんだ。仲が良くて、一緒に遊んだりしてたんだ」

 それは、文哉の悲しい過去でーーー。

「なのに……アイツは俺を侮辱したんだ。俺のことを、俺の家族を……侮辱したんだ」

 私は文哉から、文哉の両親はもういないと聞かされていた。
 付き合ったばかりの頃、二人とも事故で亡くなったと聞いた。
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