【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。


 止めようとしたけど、有澤ひらりは「アンタは部外者なんだから、黙ってて!!」と静止してくる。

「文哉……!」

「有澤……本当に申し訳ないと、思ってる」

「あの時……アンタが逃げたりなんてしなければ、彼は死なずに済んだかもしれないのよ!? なのに……アンタは逃げた。アンタは逃げたの!!」

 有澤ひらりは、涙をボロボロ流しながら、文哉に訴えかえていた。

「私はアンタのこと、ずっと恨んでた……。ずっとずっと、復讐したかった!」

「有澤……」

「アンタなんて死ねばいいのよ!!……そうしたら、私の復讐は終わる」
 
 え……。一体、彼女は何をするつもり……?

「返してよ……。あの人のこと、返してよ!!」

「やめて……!!」

「私は……あの人のことが大好きだった。ずっとずっと、一緒にいられると……そう思ってた。 なのに、高根沢くん……アンタが、あの人を階段から突き落とした!!」

 どうしよう……止めたいのに、二人を止めたいのに……足が動かない。
 どうしよう……。助けたいのに、動かない。

「有澤……ごめん」

「アンタのこと、絶対に許さない……。許さないんだから!!」

「……っ!!」


 そしてその瞬間ーーー。
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