【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。
「文哉……!! 逃げてっ……!!」
「っ……」
「文哉……!!」
有澤さんは、文哉に向かってそのナイフを突き刺そうと走り出したーーー。
「ふ……みや……」
だけど目の前にはーーー。
「っ……」
「有、澤……っ」
ナイフで刺されたのは、文哉だった。
「文哉……? 文哉……!!」
私はすぐに文哉に駆け寄った。
「文哉、しっかりして! 文哉!」
「っ……杏珠……ごめん、な……」
私は文哉のナイフの刺さっているそのお腹を抑えて、「もう喋らないで!」と抑える。
「文哉、すぐに救急車呼ぶから……」
「……杏珠……もう、いいんだ……っ」
「え……?」
文哉は、私の手をそっと握ると、「もう……いいんだ……」と微かに言葉を話す。
「やだ……文哉……イヤだよ!」
私はすぐに救急車を呼ぶ。
「ざまあみなさい! これは報いよ!」
有澤さんは、そんな私たちを見て嘲笑っていた。
「有澤さん……あなた、なんてことを……」
私が有澤さんを睨むと、「コイツが悪いのよ!コイツが……コイツが!!」と叫んでいた。
「何も……そこまでしなくたって……!!」
「コイツのせいよ! コイツが……私の大切な人を殺したのよ!」