【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。


「文哉……!! 逃げてっ……!!」

「っ……」

「文哉……!!」

 有澤さんは、文哉に向かってそのナイフを突き刺そうと走り出したーーー。

「ふ……みや……」

 だけど目の前にはーーー。

「っ……」

「有、澤……っ」

 ナイフで刺されたのは、文哉だった。
 
「文哉……? 文哉……!!」

 私はすぐに文哉に駆け寄った。

「文哉、しっかりして! 文哉!」  

「っ……杏珠……ごめん、な……」

 私は文哉のナイフの刺さっているそのお腹を抑えて、「もう喋らないで!」と抑える。

「文哉、すぐに救急車呼ぶから……」

「……杏珠……もう、いいんだ……っ」

「え……?」

 文哉は、私の手をそっと握ると、「もう……いいんだ……」と微かに言葉を話す。

「やだ……文哉……イヤだよ!」

 私はすぐに救急車を呼ぶ。

「ざまあみなさい! これは報いよ!」

 有澤さんは、そんな私たちを見て嘲笑っていた。

「有澤さん……あなた、なんてことを……」

 私が有澤さんを睨むと、「コイツが悪いのよ!コイツが……コイツが!!」と叫んでいた。

「何も……そこまでしなくたって……!!」

「コイツのせいよ! コイツが……私の大切な人を殺したのよ!」
< 22 / 29 >

この作品をシェア

pagetop