【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。
エピローグ
そしてその時、救急車の音とパトカーのサイレンが二台同時に響きわたった。
「文哉、救急車来たから、もう大丈夫だからね……」
文哉は私の呼びかけに、静かに「ああ……」と頷いた。
「っ……警察?!」
「我々が呼んでおきました。あなたの悪事を暴くためにね」
「なっ……卑怯よ!!」
私はその言葉に、「卑怯なのはどっちよ!……あなたの方がよっぽど卑怯じゃない!」と睨みつけた。
「っ……」
そしてパトカーから降りてきた数人の警察官と共に、有澤ひらりは逮捕された。
そして文哉は救急車ですぐに病院に運ばれた。
「文哉……? 文哉!?」
「バイタル低下してます!」
「脈触れません!」
しかし予想以上に出血が多く、すぐにでも手術が必要だった。 病院に着いた文哉は、すぐに手術室に運ばれ、手術が開始された。
私はただ、手術が終わるのをひたすら泣きそうになりながら待っていた。
✱ ✱ ✱
「文哉……?!」
「あ……んず……?」
「文哉……良かった!」
先生のおかげで、文哉はなんとか一命を取り留めることが出来た。
一時はどうなるかと思ったからこそ、本当に良かったと思えた。
「杏珠……ごめんな……」