その甘さに、くらくら。
男も女も関係ない。五月女が堂々とそうしていたように、俺もその辺の人間の血を吸ってみたい。首筋に歯を立て、牙を突き刺し、思いっきり吸ってみたい。その人間の血は、美味いだろうか。甘いだろうか。癖になってしまうほど、美味いだろうか。甘いだろうか。探したい。見つけたい。五月女よりも先に、極上に美味い血を。極上に甘い血を。俺が。俺が先に。
唾液が溢れてくる。意識が引き戻される。いけない。悪い兆候だ。カバンの中を弄る。ない。血液が。そうだ。ない。ないのだ。今は。こういう時に血液がないのは困る。凄く困る。とても困る。不味くても、手元になければ落ち着かない。不味くても、俺が我慢さえすれば役に立つのだ。その血を飲みさえすれば、多少はこの衝動を抑えられるのに。それなのに、血が、ない。
無意識のうちに五月女を見る。そうと決まったわけではないのに、そうだと決めてかかる俺の目が五月女を睨みつける。冷静さを失いかけていた。
後でと言わずに、今すぐ問い詰めてやろうか。五月女は今、物凄く、暇そうだ。俺も手が空いている。時計を見る。昼休みが終わるまで、まだ時間はある。早めに決着をつけた方が、胸の中のモヤモヤは解消される。不味くても、血は、いつでも手に取って飲める場所に置いておきたい。それで俺の心の安寧は保たれる。そうだ。そうするべきだ。加害者にならないように。被害者を出さないように。
徐に席を立つ。自由に動き回れる時間帯。誰も俺に注目はしない。話し声、笑い声が響き渡っている。
唾液が溢れてくる。意識が引き戻される。いけない。悪い兆候だ。カバンの中を弄る。ない。血液が。そうだ。ない。ないのだ。今は。こういう時に血液がないのは困る。凄く困る。とても困る。不味くても、手元になければ落ち着かない。不味くても、俺が我慢さえすれば役に立つのだ。その血を飲みさえすれば、多少はこの衝動を抑えられるのに。それなのに、血が、ない。
無意識のうちに五月女を見る。そうと決まったわけではないのに、そうだと決めてかかる俺の目が五月女を睨みつける。冷静さを失いかけていた。
後でと言わずに、今すぐ問い詰めてやろうか。五月女は今、物凄く、暇そうだ。俺も手が空いている。時計を見る。昼休みが終わるまで、まだ時間はある。早めに決着をつけた方が、胸の中のモヤモヤは解消される。不味くても、血は、いつでも手に取って飲める場所に置いておきたい。それで俺の心の安寧は保たれる。そうだ。そうするべきだ。加害者にならないように。被害者を出さないように。
徐に席を立つ。自由に動き回れる時間帯。誰も俺に注目はしない。話し声、笑い声が響き渡っている。