マイシス××。
「よろしくねー。アコって呼んでね」
席に着けば、隣の驚く位に派手目な女の子がにっこりと微笑んでくれるから、ホッと息が漏れる。
「よ、よろしく」
「ねぇねぇ、柏崎って名前、あの柏崎?」
「え?"あの"って?」
「え!知らないの?あの柏崎財閥グループの事だよ」
アコちゃんが大きな目を丸くして開くから、"もしかして"という単語が頭の中に過っけど"まさか"とも思った。
「ご、ごめんね?」
やっぱりよく分からない私は、謝る事しか出来なかったけど。
「ふーん。鈍チン系?あ、教科書揃ってる?」
「え、あ、まだ……」
「じゃぁ、見せてあげるから言ってねー」
「あ、ありがとう……」
でも、隣の席の子に教科書を見せて貰うなんて、まるで夢のようだ。
こうやって"高校生活"がはじまる事で、少しいい気になっていたのかもしれない。
浮かれてる立場じゃないんだって事は分かっていたのに、それでも"高校生活"に期待をしている自分がいたんだ。