マイシス××。
中も真っ白なそのお屋敷に靴のまま足を踏み入れた。
「何、あの子ー?」
「しっ、」
私の耳には、決して小さくはない話し声が伝わってくる。
「旦那さまが通せって言ったらしいわよ」
「えー?」
甲高い声の内容とジロジロと好奇な視線を向けられるよりも、メイド服を着て働いている人が本当にいる事に驚きを隠せない。
ギッと音をたてて、大きな扉が開かれる。
その向こう側には──
一瞬、息をする事を忘れてしまう程の威圧感を持つ、60、いや70代だろうだろうか。その位 年のいったおじいさんが、艶のある黒い椅子に座っていた。