マイシス××。
「お前、誰だ?」
そう言って、眉間に皺を寄せる男の子が私へ視線を向ける。
その男の子は広い車内の中で向かい側に座って、私のものと同じ学校であろう制服を身に纏っていた。
「……え、と」
真っ黒な髪の毛に綺麗な程整のった顔立ちは中性的で綺麗なものなのに、耳にはジャラジャラとピアスがつけられている。
猫のようなギロリと威圧感を与える瞳が昨日のおじいさん、いや、おじい様と同じで、私は咄嗟に視線を下に向けた。
「あ、の。はじめまして」
「……」
「さく……じゃなくて、か、柏崎コハル…です」
「かしわざきぃ??」
なんて叫ぶように男の子が顔を歪ませれば、
「時雨様」
少し離れた前方の運転席から声が耳に入ってくる。
バックミラーに目を向ければ、そこには眼鏡をかけたスーツ姿の大人の男の人がうつっていた。