マイシス××。
「昨日から旦那さまの養女に引き取られた。コハル様ですよ」
その男の人によって続けられた"養女"という言葉に、昨日の話は本当だったんだと、胸が重くグッと痛くなる。
「あ?俺、全っ然聞いてねーんだけど」
「私も今朝、聞かされました」
「なんだ、それ?」
「急に決まったようです」
「おい、川田。誰が決めたんだよ?」
「全て旦那様が決められたそうで、学校の手続きも今朝されたみたいです」
「あのクソじじいは何処だ?」
そう言って、男の子はポケットからスマホを取り出したところで、
「今日の朝一でニューヨークへ向かわれました」
川田さん?という、この車を運転をしている男の人が淡々と言葉を返していく。
「あぁ?なんだそれ」
「お仕事です」
「そんな事は知ってるっつーの!」
静かな車の中にこの2人の言い争う声だけが響き渡る。
制服を着た男の子が、物凄く機嫌の悪そうに"ちッ"と舌打ちの音をたてた。
「本当にマジで意味分かんねぇんだけど」
「ご、ごめんなさい」
ギロリと目を向けられても、私は小さく謝る事しか出来ない。