『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
「あった、あった!」
仕事中だけど、たまにはこういうのもいいよね?
オーガニック専門店に彼を連れてゆく。
可愛らしいパッケージの商品がずらりと並んでいて、その一角へ彼の手を引いてゆく。
「璃子さん、ハンドクリームが欲しいの?」
「え?あ、私じゃなくて、八神くんのお姉さんにね」
「は?」
私の言葉に驚く彼ににこっと微笑んで、ハンドクリームを数本購入。
もちろん、ラッピングして貰った。
「これ、私からお姉さんに」
ラッピングされたものを彼に差し出す。
「何でハンドクリームなの?」
「赤ちゃんってね、凄くデリケートで。お世話する時は常に手を清潔にしないとならなくて、その度にハンドソープで洗うから、常に手が荒れちゃうの」
「え、そうなの?」
「ん」
「ってか、何で璃子さん、そんなこと知ってんの?」
「あ~、和沙の子が四歳で、その子が生まれた時に結構頻繁に家に行ってたから」
「へぇ~」
「八神くんは選ばなくていいの?お祝いの品」
「あー、俺は必要ない」
「え?」
「現金催促されたんで」
「っ……」
何だか、リアル感あるなぁ。
「お姉さんと仲いいんだね?」
「いや、単なる奴隷扱いだけど」
「うちなんて、滅多なことがない限り連絡して来ないよ?」
「遠いからじゃない?うちみたいに近かったら、飯食いに行ったり家に行ったりするでしょ」
「……そういうものかなぁ」
「俺、結構健人さん好きだよ」
「あ~、健人も言ってた。八神くん、いい奴だって。健人が褒めたの、八神くんが初めてだよ。あの子、結構毒舌だから」
「へぇ~」