『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
「璃子さん」
「ん?」
「俺、赤や黒より、白やピンクとか水色が好き♪」
「何の話?」
「味付け?……ソースの話」
「??………っっっ」
コイツはド変態だった。
電話口で下着の色を催促するって……。
どうかしてんじゃないの?
「じゃあ、ベージュにする」
「フフッ、エロ~っ」
「は?何でエロいのよ、ベージュだよ?」
「色なんて関係ねーもん。どうせ、俺が脱がせんだし。璃子さんがそういうのを想像したんだってことがエロいんだって」
「っっっ~~っ」
コイツは手に負えない!
何を言おうが、どうしてそっち方向に話題を持って行くのよ。
『ちょっとぉ~、悠真まだぁ~?』
「ッ?!」
「あ、勝手に入ってくんなよっ」
『勝手に脱がしておいて、放置って酷すぎんでしょっ。早く続きしよーよ』
「ッ?!!!」
「あーうぜぇな」
『今日は付き合うって約束じゃん』
「誰が約束したよ?勝手に来たんだろーが」
「………」
電話越しの会話をスルーするにも聞くにも勇気が要る。
何この会話。
勝手に来たってことは、八神くんちに誰だか分からない女の人がいるってことだよね?
それに、『勝手に脱がしておいて、放置』って何?
え、えっ……どういう意味??
脳が鈍器で殴られた気がした。
別に彼が誰と何をしようが、いちいち報告する義務はないけれど。
一応、私、……彼女ではないのだろうか?
『ここまんまじゃ、どうしていいのか分かんないんだけど』
「チッ、……今行くから待ってろや」
『ったく、早くしてよね』
「もしもし?……璃子さん?」
「……あ、ごめんね。なんかお取込み中みたいだから、私は気にせず、続きをどうぞ」
「え、あ」
彼の言葉を遮るように電話を切った。
もう何なの……。