『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
*
「璃子さん、ごめんね?マジで親父のアホが、要らぬこと次から次へと言い出して」
「っ……ん…」
ホテルを後にし、八神く……悠真くんとタクシーに乗り込んだ。
「もう一度、確認したいんだけど…」
「ん?」
「本当に蓮水社長の息子さんなの?」
「うん、……黙っててごめん」
「………そっか」
別に彼の苗字が八神じゃなくても気にしない。
ご両親が離婚して名前が急に変わることだってあるし。
だけど、社長の息子だということを隠されていたことは正直ショックだ。
どこかの会社の御曹司というならまだしも。
自分が勤務している会社の御曹司となれば、話は別だ。
「もしかして、……俺との将来考え直すとか言わないよね?」
「………」
「俺、璃子さんと別れるつもりないよ?」
分かってる。
不可抗力みたいなものだってのも。
だって、彼はちゃんと入社試験も受けているし、今日まで実力で仕事をこなして来た。
それは上司である私が、一番よく分かっている。
「ちょっとびっくりはしたかな……」
「……ん」
「少し前に森野さんの件で留学した経緯も聞いてたし、移動願の件もちゃんと事前に知らされてたしね」
「……ん」
「頭では分かってるんだけど、ちょっと気持ちが追い付かなくて」
「……そうだよね」
シュンと項垂れる彼。
彼だって、親との約束がなかったら、きっともっと早くに打ち明けてくれていただろう。
彼はそういう人だもの。
「運転手さん、その角曲がった先で止めて下さい」
「璃子さん、ごめんね?マジで親父のアホが、要らぬこと次から次へと言い出して」
「っ……ん…」
ホテルを後にし、八神く……悠真くんとタクシーに乗り込んだ。
「もう一度、確認したいんだけど…」
「ん?」
「本当に蓮水社長の息子さんなの?」
「うん、……黙っててごめん」
「………そっか」
別に彼の苗字が八神じゃなくても気にしない。
ご両親が離婚して名前が急に変わることだってあるし。
だけど、社長の息子だということを隠されていたことは正直ショックだ。
どこかの会社の御曹司というならまだしも。
自分が勤務している会社の御曹司となれば、話は別だ。
「もしかして、……俺との将来考え直すとか言わないよね?」
「………」
「俺、璃子さんと別れるつもりないよ?」
分かってる。
不可抗力みたいなものだってのも。
だって、彼はちゃんと入社試験も受けているし、今日まで実力で仕事をこなして来た。
それは上司である私が、一番よく分かっている。
「ちょっとびっくりはしたかな……」
「……ん」
「少し前に森野さんの件で留学した経緯も聞いてたし、移動願の件もちゃんと事前に知らされてたしね」
「……ん」
「頭では分かってるんだけど、ちょっと気持ちが追い付かなくて」
「……そうだよね」
シュンと項垂れる彼。
彼だって、親との約束がなかったら、きっともっと早くに打ち明けてくれていただろう。
彼はそういう人だもの。
「運転手さん、その角曲がった先で止めて下さい」