『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

「結果が全てってことだよ」
「……?」
「持ってるスキル使い切って、完全燃焼してからでもいいんじゃね?悩むのなんて」
「……フッ」
「五歳も差があるってさ、ある意味、結構なハンデだと思うぞ」
「ん」
「マイナスのハンデにするか、プラスのハンデにするかは、悠真次第だってこと」
「おぅ」

やっぱ、圭吾は最高だ。
俺の欲しい言葉を与えてくれる。

「好きなだけ飲め」
「よーしっ、飲んだくれるぞぉぉお~!」

ジョッキで再乾杯した。

**

十二月中旬の金曜日の十八時過ぎ。
会社から程近い居酒屋で、戦略営業部と宣伝営業部との合同忘年会が開かれている。

部署が同じということもあって、俺のすぐ隣りに彼女が座っている。
直接触れているわけでもないのに、右側だけが妙に熱い。

「先輩、どうぞ?」
「あっ、ありがとう」

半分以下になっているグラスにビールを注ぐ。
去年は新入社員だったから、あちこち注ぎに廻ったけれど。
今年は注ぎに廻らなくてもよさそうだ。
新入社員の三人がペコペコ頭を下げて注ぎ廻っている。

「八神くん、お鍋の具、取ろうか?」
「あ、……お願いします」

少し離れた場所にある土鍋から、俺のために取り分けてくれる。
その横顔、めっちゃ綺麗です、先輩。

「八神くんって、どういう女性が好みなの~?」
「好みですか?」

向かいの席の宣伝営業部の女子社員が声をかけて来た。
その質問に、取り分けてる先輩が振り返り、視線が絡まった。

「泣き顔がセクシーな人」
「えっ、何なに?!そのピンポイントな表現っ!泣かせるのが趣味なの?」
「うーん、そういう趣味はないですけど」

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