『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
*
一次会の居酒屋を後にし、駅へと向かう。
別に八神くんと抜け出したかったわけじゃない。
だけど、ほんの少しだけ……もう少し話してみたかった。
「先輩」
「……ん?」
「二人で飲み直します?」
「へ?」
「ね?……いいでしょ?」
この“ね?”に弱い。
だって、凄く可愛んだもん。
尻尾がフリフリとしてる感じがして。
妙に懐かれるのが、心地いいとさえ思えてしまう。
素の自分を曝け出したからなのか。
彼からの気持ちを聞いたからなのか。
職場の、それも部下に、性に関するカミングアウト的なことを明らかにしたわけだし。
恥ずかしいという気持ちは当然ある。
だけど、その核なる部分が、未だによく分からなくて。
何がどれだけ恥ずかしいことなのか、靄がかかってる感じで正直曖昧だ。
それについさっき、“泣き顔がセクシーな人”だなんて聞いてしまったから。
八神くんという人物と過ごした時間が、夢じゃなかったんだと実感して。
もう少し、彼と話したいと本気で思い始めてる。
「土日は休みなんだから、少しくらい遅くなっても平気ですよね?」
「………ん」
確かに土日は仕事がない。
休日出勤の予定もないし、もちろんデートだとかそういった類の予定も入ってない。
「バーと居酒屋ならどっちがいいですか?」
「お任せする」
「じゃあ、俺んちで」
「えっ?」
彼の言葉にドキッとした。
これ、この間の“何か、音楽でもかけます”と同じだ。
営業スキルが結構高い。
けれど、それくらいの返しじゃまだまだ青いよ。
「お腹は空いてる方?ちゃんと食べれた?」
「……まぁまぁってとこですかね?」
「じゃあ、うち来る?」
「へ?」
一次会の居酒屋を後にし、駅へと向かう。
別に八神くんと抜け出したかったわけじゃない。
だけど、ほんの少しだけ……もう少し話してみたかった。
「先輩」
「……ん?」
「二人で飲み直します?」
「へ?」
「ね?……いいでしょ?」
この“ね?”に弱い。
だって、凄く可愛んだもん。
尻尾がフリフリとしてる感じがして。
妙に懐かれるのが、心地いいとさえ思えてしまう。
素の自分を曝け出したからなのか。
彼からの気持ちを聞いたからなのか。
職場の、それも部下に、性に関するカミングアウト的なことを明らかにしたわけだし。
恥ずかしいという気持ちは当然ある。
だけど、その核なる部分が、未だによく分からなくて。
何がどれだけ恥ずかしいことなのか、靄がかかってる感じで正直曖昧だ。
それについさっき、“泣き顔がセクシーな人”だなんて聞いてしまったから。
八神くんという人物と過ごした時間が、夢じゃなかったんだと実感して。
もう少し、彼と話したいと本気で思い始めてる。
「土日は休みなんだから、少しくらい遅くなっても平気ですよね?」
「………ん」
確かに土日は仕事がない。
休日出勤の予定もないし、もちろんデートだとかそういった類の予定も入ってない。
「バーと居酒屋ならどっちがいいですか?」
「お任せする」
「じゃあ、俺んちで」
「えっ?」
彼の言葉にドキッとした。
これ、この間の“何か、音楽でもかけます”と同じだ。
営業スキルが結構高い。
けれど、それくらいの返しじゃまだまだ青いよ。
「お腹は空いてる方?ちゃんと食べれた?」
「……まぁまぁってとこですかね?」
「じゃあ、うち来る?」
「へ?」