『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

やべぇ。
久々に呑まれそう。

先輩がこんなにも強いとは思いもしなかった。
ビール数本、ワインボトル半分くらいで限界かと思ってたのに。
俺の方が先に潰れそう。

ウイスキーなんて普段飲まないから、美味しさも分からない。
っつーか、喉が焼け付いて、味なんて分かんねぇっての。

顔色一つ変えずに口にする先輩が視界に映る。
戦利品の“キス”を勝ち取りたかったのに……。

クラクラする。
体が熱くて死にそう。

「服、脱いでいいっすか?」
「え?あ、いいよ~。ってか、私、着替えて来ていい?スーツのまんまじゃ落ち着かなくて」
「どうぞどうぞ。それと、トイレ借りていいっすか?」
「どうぞ~。リビング出て、左側のドアがお手洗いだよ~」
「お借りしまーす」

先輩が着替えに行ってる間にトイレへと。
あのまま飲み続けたら、マジで寝落ちそう。

廊下に出て深呼吸する。
トイレのドアまで数歩の距離をストレッチしながら何往復かして……。

トレイも済ませて再びリビングに戻ると。
もこもこっとした可愛らしい部屋着の先輩がいた。

「脚、綺麗っすね」
「元彼にも綺麗って……」

少しは酔ってるのかな?
自分で言っておいて、しまった!みたいな顔をしてる。

「へぇ~、元彼の好みなんですね、先輩の脚」
「っ……」

ソファに腰掛ける先輩の、ショートパンツから覗く脚を指先でツーっと撫でる。

「お触り厳禁だよっ」
「へぇ~、初めて聞きました、それ」
「っ……」

飲み比べで勝とうと思って必死になってたけど。
先輩、結構酔ってるっぽい。
目がとろんとしてる。

< 33 / 126 >

この作品をシェア

pagetop