『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
大変大変っ、どうしよう~~。
普段は滅多なことがない限り、酔い潰れたりなんてしないけど。
さすがにこの量は無理がある。
私、酔うと人肌恋しくなるタイプなのに……。
だから、入社当時に酔い潰れた時なんて、見知らぬサラリーマンに擦り寄ってたらしい。
殆ど記憶に無いけれど……。
ジャケットを脱ぎ、Yシャツ姿の八神くんはネクタイも取って、胸元が少しはだけてる。
直視したらダメなのに……。
ついつい視線で追ってしまう。
綺麗な指先がYシャツの襟を抓み、パタパタと煽いでる。
綺麗な鎖骨してるなぁ。
「先輩、エロいですよ、その目」
「っ……」
バレたかも……。
やせ我慢するみたいにウイスキーの入ったグラスを傾ける。
これ以上飲んだら、本当に危険なのに。
「八神くんって、酔うとどうなるの?」
「俺?……圭吾が言うにはって、圭吾ってのは親友なんですけど」
「ん」
「そいつが言うには、キス魔になるらしいです」
「えっ?」
「先輩は?」
「秘密」
「何すか、それ。俺だけ暴露させるとか、鬼畜っすね」
ちょっぴりプンスカと怒った顔は子供っぽくてやっぱり可愛い。
色んな顔を持ってるんだなぁ。
「で?……酔うと、どうなるんですか?」
この顔に弱いかも。
頬杖ついて流し目みたいにおねだり顔されると、ついつい返したくなる。
「ハグ魔になるらしい」
「え?」
「さっきも言ったでしょ。入社当時、見知らぬサラリーマンに抱きつかれたって」
「……」
「あれ、私が擦り寄ってたらしい、人肌恋しくて。で、勘違いしたその人に抱きつかれたってわけ」
「マジっすかっ!!先輩、俺ら最強の相性っすね!!」
「……え、何で?」
「だって、キス魔とハグ魔ですよ?めっちゃバッチリじゃないですか!」
「……いや、ただの変態なだけだよね?」
「相手がそれでいいなら、別に問題ないですよね?」