『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
うっわぁ~~!
先輩、酔うとハグ魔とか、最強すぎるっっっ。
「あ、言っときますけど、俺、女の子の前で酔い潰れたことないんで」
「……え?」
「今まで何回か潰れたことありますけど、それ、全部圭吾と飲んでる時なんで」
「……えっ、じゃあ、何?その圭吾くんにキス迫ったってこと?」
「はい」
「ホント?」
「はい、……それも、ガッツリなやつ」
「プププッ、……八神くん、ごめんっ、笑い止まんないっ」
「いいっすよ、幾らでも笑って下さい。先輩の笑顔、めっちゃ可愛いんで」
「……ッ?!!」
お腹抱えて笑い転げていた視界に映った彼は、凄く嬉しそうな顔をしていた。
そんな風に見つめられたら、悪酔いしそうだよ。
「先輩、……そろそろギブしてくれませんかね?」
「っ……」
頬杖をついたまま、じーっと見つめられる。
「酔ってます?」
「……」
「酔ったことにしてくれます?」
「……」
視線を逸らすことなく、彼はゆっくりとテーブルから離れた。
そして、僅かに小首を傾げながら……。
「酔ったことにしませんか?」
“おいで”と、両手を広げた。
「―――――ん」
八神くんとの二度目のハグ。
前回の慰めハグとは違い、ちょっぴり危険な香りを纏ってる。
ぎゅっと抱き締められる感触。
五歳も年下なのに、ちゃんと男の人だと感じる。
しっかりと鍛えられた体躯、長い腕。
すっぽりと収まってしまう私の体が、本当に無力に思えるほど。
「キスしていいですか?」
「……酔ってるの?」
「……はい、めちゃくちゃ酔ってます」
何のカミングアウトなのよ。
キス魔にハグ魔。
どっちも危険すぎるのに、何だろう……。
八神くんなら、何でも受け入れてくれそうな気がする。