『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
大好きな先輩が腕の中にいる。
もうそれだけで、心臓が爆発しそうなのに。
背中部分のシャツが掴まれてるのが分かる。
そういう仕草したら、アウトだって知らないんですか、先輩。
かまをかけて、キスをせがんでみた。
あわよくば的な、期待感ゼロで。
なのに……。
ゆっくりと持ち上がった先輩の顔。
ただ見つめられてるのかと思ったら、静かに瞼が閉じてしまった。
え、えっ、えぇぇぇ~~っ?!!
いいの?
いいんすかっ?!
俺、本気にしますよッ?!!
ふんわりとした髪に指を差し入れるみたいにして後頭部をそっと支えて。
白い肌に映える桜色の唇にそっと重ねた。
「……んっ……ッ…」
触れてしまえば理性なんて、あったことさえ忘れてしまうほどに。
甘く漏れ出す声に、好きの想いが溢れて。
ちょっとだけ。
ほんの少しだけだと、脳では分かってるのに。
無理っ、止められないっっっ。
啄むだけじゃおさまりきらなくて、唇を抉じ開けて舌を滑り込ませた。
俺が初めてなわけじゃないから。
結婚を決意したほど、愛した男がいたから。
先輩の過去の男に嫉妬するとか、マジでどうしょうもないないのに。
無性に先輩の全てが欲しくなる。
「先輩……」
ソファに押し倒した。
酔ってハグして、キスもして。
ここまで来たら、その先を期待したらダメですか?
見下ろす先にいる先輩は、驚いたような困ったような。
ちょっと複雑な表情をしている。
「シてもいいですか?」
「……」
「ダメなら、言って下さい」
「ダメ」
「ごめん、聞こえなかった」
「っ……んっ…」