『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
忘年会の翌朝。
目が覚めた私の視界に八神くんがいた。
そういえば、昨日、……彼と寝たんだった。
お酒の力を借りて、彼と向き合って話した結果。
お互いの利害の一致というのだろうか。
付き合うことになってしまった。
ぎゅっと抱き締められた状態で朝を迎えた私は、彼の顔をまじまじと拝見する。
寝顔、初めて見た。
やっぱり、少し幼い感じがする。
男の人だから、髭が伸びかかってるのは当たり前なんだけれど。
しわもなければ、シミもない綺麗な肌が若さを証明している。
キス、上手だったな。
やっぱり、手慣れてる感じは凄いした。
行為自体もそうだったけど、その前段階の口説き文句も上手くて。
抱かれてもいいかな?とか簡単に思えてしまうほど、話術が巧みで。
それに、最初から最後まで彼は優しかった。
歴代の男性陣と比べたらダメなのかもしれないけれど。
何ていうのか……。
私の気持ちをしっかりと受け止めてくれてる感じがひしひしと伝わって来て。
自分が“不感症”だってことすら忘れていたほど、恐怖心が全くなかった。
あの日以来、自分の体が気持ち悪くて怖かったのに。
彼に抱き締められると、そんなことすら包み込んで貰えてる気がして。
「んっ……、もう起きたんですか?」
「年寄りは朝が早いのよ」
「……フッ、年寄って、……まだ二十代じゃないですか」
まだ瞼が開かず、半分寝ているような感じの彼。
何時まで起きてたのだろう?
体力の限界で先に寝落ちてしまったけれど。
慣れないベッドでちゃんと寝れたのかな……?