『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
「お姉さん、いるの?」
「はい」
「幾つ?」
「二十八」
「一つ下なんだ」
「はい。ね?……気にしなくて平気でしょ?」
「う~ん……」
五歳差にコンプレックスを感じてるのは、俺も同じだ。
璃子さんは、若い俺に気を遣い。
俺は、璃子さんの周りにいる男らに嫉妬する。
この五歳差は消すことができないけれど。
その差を感じさせなくすることは出来るはず。
俺ができることなんて、たかが知れてる。
余裕がある大人の男を演じきれるほど、経験値があるわけじゃない。
彼女に対して真摯に、正直でいることくらいしかできないのは分かってる。
「何、ぐるぐると考えてるんですか」
「っ……」
「しょうがないなぁ、いいですよ、今日のところは俺が引きます」
「っ……、ごめんね」
「謝らなくていいですよ」
申し訳なさそうにシュンとする璃子さん。
そんな姿も可愛い。
「仕事とプライベート、本当に区別できるの?」
「はい。……たぶん」
「っ……たぶんって」
「先輩はできるんですか?毎日、近くに俺がいて」
「……ん、たぶん」
「たぶん?……へぇ~」
まぁ、俺の方が好き濃度高いから、俺が制御すりゃあいいだけの話なんだろうけど。
「今日、この後、どうします?」
「……八神くんの予定は?」
「先輩と過ごす、一択です」
「っ……」
「でもまぁ、一旦家に帰りますけど、着替えないんで」
「……そうだね」
「デートします?俺んちに泊りに来ます?……それとも、また今夜泊まりに来ていいですか?」
「……他に選択肢ないの?」
「はい、無いですね」
「……ちょっと考えさせて」