『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
結局、一旦解散して、昼過ぎに待ち合わせて、デートをすることに。
そして、その後に再び彼が私の家に泊りにくることになった。
スキンケア用品やらバスグッズやら。
女子はお泊りに必要なものが意外と多い。
それらを気にせず、無鉄砲に泊まれる年齢は通り越してる。
*
「置き服してもいいですか?」
「ん、いいよ」
人懐っこい性格だからなのか、馴染みが早い。
すっかり我が家の間取りも覚え、リビングのソファに座る彼に違和感がない。
「さっき適当に食材買ったけど、夕ご飯、何が食べたいの?」
「璃子さん♪」
「ごめん、聞こえなかった」
「あ、それ、俺専用のセリフなのに」
「営業スキルってやつよ。盗めるモノは自分のモノにしないとね~」
「へぇ~、自分のモノねぇ……」
冷蔵庫に買って来た食材を片付けていると。
「璃子さんって、同棲した彼氏、何人います?」
凄く近いところから声がした。
振り返ると、リビングではなく、キッチン台に凭れる彼が。
「私も八神くんのこと聞いたら、何でも答えてくれるの?」
「はい、答えますよ?」
「……二人」
「元彼とその前の彼氏?」
「……ん」
「じゃあ、前々彼氏とはどれくらい付き合ったんですか?」
「そういうこと、全部話さないとダメなの?」
「全部じゃないですけど、昨日までの璃子さんを作った歴代の彼氏のことは知っておく必要があるかなと思って」
「……別に、そんなたいそうな付き合いしたわけじゃないよ」
彼が何を知りたがってるのか、微妙に分からない。
普通こういう質問って、嫉妬からくるものだと思ってたんだけど。
彼の場合、それとは少し違う気がする。