『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
「えっ、……いいの?」
行きつけのラーメン屋さんで夕食を済ませ、この後どうするか?という流れになった。
ダメもとで『俺の家に来ますか?』と伝えたところ、この反応。
期待してもいいんですかね?
「璃子さんちみたいに生活感のある家じゃないっすよ?」
「え?」
「………え?」
「えっと、……実家じゃないの?」
「違います」
「えっ……」
「実家の方が良かったですか?」
「あ、いや、そうじゃなくて……一人暮らしだとは思ってなかったから」
「あー、ん~……」
なるほどね。
それじゃあ、あの反応でも間違いないか。
「この前話した通り、今実家に姉貴いるんで、ちょっと時期ずらして貰えたら、連れて行きますよ?」
「……ん」
「姉貴、傍若無人なんで」
「え?」
「それが、妊娠して更にパワーアップしてて」
「……??」
「とにかく、八つ当たりされるの必至なんで、実家帰りたくないんです、今は」
「……そうなんだね」
「で、俺の家がダメなら、璃子さんちでもいいですけど」
「八神くんの家って、ここから近いの?」
「四駅先です」
「近いね」
「じゃあ、テイクアウトOKってことでいいですか?」
「………お任せします」
「仰せのままに♪」
**
「えっ、何この物件っ?!」
「ちょっと変わってるでしょ」
五階建てのデザイナーズマンション。
親のすねを齧ってる身分です。
「ワンフロアに二世帯しかないんだね」
「ペットも可みたいです。うちは飼ってないですけど」
「そうなんだぁ。……やっぱり、いいとこの坊ちゃんなんだね」
「……違うとは言い切れないかも」
「あはっ、何それ」
「いや、親のすね齧ってるんで」
「いいんじゃない?別に。独身のうちは目一杯齧れば」
「嫌じゃないんですか?そういう男」