『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
「浮いてる生活費をちゃんと貯金して、結婚資金だとか老後の資金だとか。ちゃんと計画を立ててるなら、いいんじゃない?後先考えないで、あればあるだけ使うのは問題アリだけど、歳をとれば必然的に親孝行しなくちゃならなくなるしね」
「やっぱ、先輩ってカッコいいです」
「えぇ~どこが~~」
初めて自宅に女性を招き入れた。
自分のテリトリーに要らぬ情報を持ち込みたくなくて。
遊びが目的の相手を持ち帰るようなことはして来なかった。
俺が本気で惚れた女性。
婚約者がいようが、諦められなかった女性。
年上で上司でもあり、人として尊敬できる彼女。
彼女の隠された部分を知ったからなのか。
自分の素の部分も彼女に知って欲しいと思ってしまう。
それが、男として未熟な部分であったとしても。
「結構シンプルな部屋なんだね」
「ゲームして、寝るだけの部屋なんで」
「あっ、忘年会の時に『ゲームする』って言ってたもんね」
「元々、インドア派なんで」
「そうなんだ」
「シャワー浴びて来ていいですか?」
「ど~ぞ~」
「適当に寛いでて下さい」
「はぁ~い」
璃子さんからはシャンプーの匂いがするから、たぶん帰国してお風呂に入って来たのだろう。
すっかり記憶された璃子さんの自宅のバスグッズ。
フローラル系にちょっぴりエキゾチックな感じのフルーティーな香りが混ざっていて、男心を擽る香りだ。
*
「えっ、何ですか、この怪我」
泊まらせる気満々の俺は、部屋着用にと着替えを渡した。
すると、着替えた俺のハーフパンツから覗く膝頭に包帯が巻かれている。
「出張先の道路が凍ってて、滑って転んだの」