『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

「アイツが原因で、大学を海外にしたくらいだから」
「っ?!」

親の仕事の関係で海外の大学に行ったんじゃないの?
それに、車に轢かれるって……理解できる範疇じゃないよ。

「外で出待ちしてるかもしんないから、今日は泊まってって」
「……ん」
「ホント、ごめん」
「八神くんが謝ることじゃないよ」
「いや、マジでごめん」

想像してのとだいぶ違う高校生活を送ってたのかもしれない。



数日後の十五時過ぎ。

「先輩、俺も一緒に行きますっ」
「え?」
「森野商事ですよね」
「………ん」
「部長に話つけてあるんで、同行させて下さい」
「……ホントに大丈夫なのに」

打ち合わせに必要な書類を確認していると、八神くんがビジネスバッグを手にして目の前に。

断わり切れず、会社からタクシーで森野商事へと向かう道中。

「意外だね」
「何のことですか?」
「八神くんって、結構心配性なんだね」
「……アイツ対策です」

部長に掛け合うまでして、同行しようとしてくれた誠意は伝わったよ?



「―――…という感じに、御社のグローバルなイメージに合わせた内装案とメニュー案になります」
「分かりました。検討した上で、ご連絡差し上げます」

和沙にデザインして貰った数パターンのイメージ図と、それに合わせたメニュー案を纏めたものを提案した。
パワーポイントでのサポートをしてくれた八神くんが、パソコン周りを片付けていると。

「この後、三人で食事でもどうですか?」

< 75 / 126 >

この作品をシェア

pagetop