『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

「蓄積された疲労とストレスからホルモンバランスが崩れて、甲状腺の数値が高めなのと、それによる不整脈で心臓に負担がかかってるみたいで」
「っ?!」
「少しずつ、自分の体を労わらないとならない年齢なのよ」
「……ん」
「だからね」
「……」
「別れようか」
「っ……」

別れを口にした璃子さんは、凄く優しい笑みを浮かべた。

「自分のことで手一杯なの。八神くんのことを癒してあげ「っんなことはどーでもいいよっ!」
「へ?」
「璃子さんに癒して貰おうだなんて思ってないよ。俺が、……璃子さんの傍にいたいんだよっ」
「でも、……仕事も辞めるかもしれな「仕事をしてる璃子さん好きだけど、普段の璃子さんだってすげぇ好きだよっ。っつーか、俺のこと、なんも分かってねーじゃんっ」
「っ……」
「五歳も年下だから、馬鹿にしてんの?」
「してないよ」
「言葉では何ともでも言えんじゃん」
「……」
「俺に甘えようとか、頼ろうとか、一ミリでも頭過ったのかよ。過ってねぇだろっ」
「っ……」
「俺の気持ちを何だと思ってんの?」

個室なのが、有難い。

溢れ出す感情がセーブできなくて、焦りが責め立てる言葉に変換される。

「辞めたいなら、辞めたらいいよ。少し休息取るんでもいいしさ。そんなことで、嫌いになったりしないよ。ってか、嫌いになるわけねーじゃん。……こんなにも好きにさせといて」
「っ……」
「俺の前から消えようとすんなよ。それが一番傷つく」
「……ごめん」

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