『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
三日間の検査入院を終え、自宅へと戻る。
暫くは経過観察をしながら、血液検査とエコーを定期的にしなければならないが、とりあえず大事には至らなかったみたい。
これといって服薬があるわけでもなく、手術をしないといけないというレベルでもないらしく。
とにかく、ストレスと疲労は回避して生活にゆとりを持てばいいらしい。
ストレスを侮っていた。
社会人なら多かれ少なかれ誰でも抱えているものだと思ってたけれど。
私の場合、激務による疲労と破談になったストレスが原因のようだ。
あの頃から少しずつ違和感があったのは気付いていた。
それを仕事が多忙なのを理由に後回しにしたせいだ。
今なら気付ける。
完璧じゃなくても、不安になっても、大丈夫なんだと。
八神くんがそんな私を大きく包み込んでくれるから。
*
「こんばんは~」
「おかえり」
「っ?!……今の、凄くいい…」
仕事帰りに寄ってくれた八神くんを出迎える。
『おかえり』が嬉しかったようだ。
私だって彼の家に行った時に言って貰えて嬉しかったもの。
ささやかな言葉一つで、不安な気持ちも疲れてる体も全部吹っ飛ばせてしまうほど幸せだよね。
「明日からまた出勤するから」
「大丈夫なんですか?」
「うん、無理しないように、新規の案件はみんなに回すけど、抱えてる案件は少しずつ捌くよ」
「無理しないで下さいね」
「ありがと」