再会した幼なじみと、ひとつ屋根の下
○心菜の家・リビング
颯真「さっきはごめんな。元はと言えば、俺が一緒にスーパーについて行ったせいで……」
心菜「ううん。颯真くんは悪くないよ。私のほうこそ、颯真くんと幼なじみだってこと拓弥に話しちゃってごめんね」
颯真「まあ、俺らが一緒に住んでることは言ってないし。それに、松木くんなら大丈夫だろ。その……心菜の友達なんだし」
心菜「颯真くん」
颯真「俺らが幼なじみだってことを黙ってる代わりに、デートしろって言うのは気に入らねえけど。アイツが悪い奴じゃないっていうのは、分かるから」
照れくさそうに、がしがしと頭を搔く颯真。
心菜(まさか颯真くんが拓弥のこと、そんなふうに言ってくれるなんて)
颯真「なあ心菜、腹減った。ハンバーグ食べたい」
心菜「あっ、うん。今から作るからちょっと待ってね」
心菜が慌てて隣のキッチンへと移動する。
○心菜の家・キッチン
颯真「いつも心菜に作ってもらってばかりじゃ悪いから。今日は俺も手伝うよ」
颯真が紺色のエプロンを身につけ、初めて見る颯真のエプロン姿にキュンとする心菜。
颯真「何すれば良い?」
心菜「えっと、それじゃあサラダ用の野菜を切ってもらおうかな」
颯真「了解」
少しして、隣からトントントンとリズミカルな包丁の音が聞こえてくる。
心菜(へぇ。颯真くんって手際がいいんだな。
一人暮らしだし、普段料理とかしてるのかな?)
初めて見る颯真の見事な包丁さばきに、心菜は思わず見入ってしまう。
心菜(よし。私も颯真くんに負けていられない)
服の袖を捲ると、心菜も颯真の隣で野菜を刻み始める。